江戸時代、徳川家康が駿府城にて謎の生物に遭遇したという記録がある。一宵話の二巻にてその話は記されているという。
神祖、駿河にゐませし御時、或日の朝、御庭に、形は小児の如くにて、肉人ともいふべく、手はありながら、指はなく、指なき手をもて、上を指して立たるものあり。見る人驚き、変化の物ならんと立ちさわげども、いかにとも得とりいろはで、御庭のさうざう敷なりしから、後には御耳へ入れ、如何に取りはからひ申さんと伺うに、人見ぬ所へ逐出しやれと命ぜらる。やがて御城遠き小山の方へおひやれりとぞ。或人、これを聞て、扨も扨もをしき事かな。左右の人たちの不学から、かかる仙薬を君に奉らざりし。此れは、白沢図に出たる、封といふものなり。此れを食すれば、多力になり、武勇もすぐるるよし。
著者:秦鼎 編:牧墨僊(まきぼくせん1775- 1824年)「一宵話・巻之二(異人)」より
ある日の朝、庭に異様なモノが立っていた。子供のような肉の塊で、肉人とでもいうべきか、手はあるが、指はなく、天を指している。みるものは皆、「なんだあれは、妖怪か、人か」と口々に騒ぎ立てる。騒動が大きくなり、家康の耳に入れた。
家康は「人目のつかないところへ追い出せ」と指示を出した。結局、肉人を城から離れた遠い小山へ追い出した。
後に、この話を聞いたある人が、
「なんと惜しいことをしたものだ。周囲の家臣たちに学がないばかりに、貴重な仙薬を公に差し上げることが叶わなくなってしまった。この肉人は、『白沢図』に載っている『封(ほう)』という存在であり、その肉を食べると多力になり、武勇も増したのに、まったくもったいない」
肉人の正体はぬっぺふほふと言われている。ぬっぺふほふとはのちののっぺらぼうと呼ばれる妖怪であり、目も鼻も口もない、まさに肉の塊のような妖怪である。果たして肉人とは何者なのであろうか・・・
3 Comments
匿名
7月 13, 2018 at 6:28 amマシュマロマンか
匿名
7月 13, 2018 at 7:00 amエイリアンという説もあるよ
匿名
7月 16, 2018 at 2:14 pm案外当時日本で知られてなかっただけの普通の動物って可能性もあるよな