サンチアゴ航空513便事件

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サンチアゴ航空513便事件

1989年11月14日、アメリカのタブロイド紙・ウィークリー・ワールド・ニュースがとある事件を報じた。
1989年10月12日、ブラジルのポルト・アレグレ空港で異変が起きたという。一機のロッキード・スーパーコンステレーションと呼ばれる旅客機が管制塔の許可を得ずに着陸した。すぐさまこの旅客機は調べられたが、そこには驚愕の事実が待っていた。なんとパイロット含め92名の乗組員全員が白骨化していたのだ。

フライトレコーダーによりさらに驚きの事実が浮かび上がってきた。この旅客機は35年前の1954年9月4日、西ドイツのアーヘン空港からポルトアレグレ空港に向かっている途中で忽然とその姿を消したサンチアゴ航空513便だと判明したというのだ。超常現象研究家のセルスー・アテロ博士はこの旅客機がほぼ確実にタイムワープして消えたという。

果たしてこの事件は実際に起きたことなのだろうか・・・?
この事件が日本に初めて紹介されたのは、1990年3月、オカルト雑誌ムーにて紹介された。次いで2001年9月放送のTBS系列のバラエティ番組USO!?ジャパンで紹介された。ここでは、原因不明の「逆バミューダ現象」として紹介されいた。
調べていくと以下のようなことが明らかになった。

・ウィークリー・ワールド・ニュースは、記事中においてサンチアゴ航空(Santiago Airlines)は1956年に廃業したと述べているが、サンチアゴ航空という航空会社はICAOの記録に存在しない。従って、サンチアゴ航空が運行していたとされるアーヘン空港からポルトアレグレ空港への直行便も実在しない。
・アメリカのNPO法人Flight Safety Foundationの提供するウェブサイト、Aviation Safety Networkの航空事故一覧には、1954年9月4日、ならびに1989年10月12日に該当する事故が発生したという記録は存在しない。
・ウィークリー・ワールド・ニュースは、1992年5月26日号において、リオ・デ・ジャネイロ発ハバナ行のDC-3348便が1939年4月16日に行方不明になり(そのような直行便は存在しなかった)、53年後の1992年に36名の白骨化した乗客を載せてコロンビアのボゴタの空港に着陸したという同様の事件を報じているが、ウィークリー・ワールド・ニュースは更に1994年7月5日号にも、着陸日時が違うだけの全く同じ内容の事件を報じている(ボゴタに着陸したのが1994年、55年後の出来事であると改められている)。また、そうした事故の記録もAviation Safety Networkの事故一覧には存在しない。
・自動操縦による初の着陸成功は1966年のことである。従って1954年当時の旅客機に、着陸が可能な自動操縦装置は存在せず装備され得ない。また後に開発された空港の設備に適合するはずもない。一般に、離陸後3分間と着陸前8分間は航空機事故が集中する「クリティカル・イレブン・ミニッツ(Critical 11 Minutes)」と呼ばれ、通常は操縦士の制御が必要である。よって、操縦士が白骨死体になっていた場合、通常の着陸を行うことは不可能である。
・自動着陸装置を持った最初の旅客機はホーカー・シドレー トライデントで、これは1964年に路線就航している。故に、それよりも前に路線就航しているスーパーコンステレーションは自動着陸出来ないはずである。またフライトレコーダーが搭載されはじめたのも同時期である。
・ブラジルの新聞や他のマスコミ、例えばポルトアレグリ(こちらの発音に近い)発行のZero Horaなどに、該当事件の記事がない。

wikipedia-サンチアゴ航空513便事件より

もうおわかりだろうか・・・?つまりサンチアゴ航空513便事件とは、ウィークリー・ワールド・ニュースが作り出したネタ記事だったのである。

3 Comments

  • 匿名

    6月 7, 2018 at 6:29 am

    なんだ嘘かよ!!

  • 匿名

    6月 8, 2018 at 3:11 am

    解決してるやん…むしろみんなが騙されて話が世界中に広まった点が「謎」か

    匿名

    6月 8, 2018 at 6:41 am

    世界中が踊らされたんか

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